<2021年10月家族会報告>
10月16日(土)1時半~5時 31名参加(26家族) 初参加2名(2家族)
講師:駒木野病院 副院長 田 亮介先生
「アルコール依存症治療と回復に必要な“つながり”」 印刷資料あり
駒木野病院の田と申します。緊急事態宣言が解けて皆さんとこうして勉強会が出来ることを嬉しく思います。
「ダルクを通して」大事なことは、「似たような経験、体験をした仲間との生活」が本当に大事だなと思っていまして「本人にとって安心できる場所」。最初は居心地悪いと思いますよ、でもミーティングやプログラムや体験を通して安心できる場所になっていくでしょう。「孤独や不安感の緩和」に繋がります。仲間がいれば「危険や行動の低減」ができるし「生活リズムや服薬習慣の確立」ができていきます。ご家族にとっても「家族会を通してご家族の辛さが理解され、孤独や不安を発散・低減し、仲間を作る」ことができる。ぜひご家族も仲間をもって、日々孤独に陥っていないか検討してみることが大事だと思います。「当事者にとっては家族が家族会に繋がってくれることはありがたいこと」。今日皆さま方がここに集っておられることがおそらく本人たちにとっても非常に心強いと事だと思います。
「自助グループが回復に必要な理由」ですが、私自身が依存症者であるわけではないのです。離脱症状も経験したこともないし病的飲酒欲求もありません。その辺に限界があって、やはり同じような経験をした人の話の方が説得力があり理解し易かったり受け入れやすかったりします。家族がどんなに言ってもやめない、医者がやめろと言ってもやめない、でも断酒会に言ったらピタッとお酒止めた人がいたんですね。理屈じゃないんですね。やはりそういう集団の力というものがあるんでしょうね。
「基本的な家族・周囲の対応」医者にもアルコールを止めさせる力がないと同様に、ご家族にも止めさせる力があるわけじゃないなと思います。止める、止めないは最終的にはご本人に決めてもらうしかないと思います。後は「家族の方でもあまり振り回されないでいる」といいと思います。「病気が原因で繰り返している」という認識が必要です。なかなか同じ屋根の下に居ると、病気だからと思いきれない事もあると思いますが、客観的に見る意識は必要かなと思います。「本人が一番辛いんだという意識」を持ってあげられると良いと思います。ただ「暴力は受けない、暴力に対しては逃げる」本当に危ない時は警察を呼ぶ必要もあります。あとは「本来なら誰がすべきことか考えて、本人がすべきことだと判断したら手を引く」。依存症は慢性疾患ですから途中で再飲酒という事もあります。「あまり一喜一憂しすぎない」事も大事だと思います。「ご家族の健康・人生も大切」にしていただきたいし、先ほども言いましたようにご家族も「自助グループや家族会への参加」で孤立しないようにしてほしいと思います。
「治療に対する理解」断酒を続けることはそれなりに大変なのです。飲酒=止める気がないという事ではない事もご理解いただきたいと思います。飲んでいる姿を見るとご家族には本当にがっかりだと思うのですが、多くの方が「やめたい気持ちはあるんだけど、でもやめる自信がない」と言います。やめた実績をもっていないですから。どこかで飲み続けたいと言う気持ちも、コインの裏表みたいにあるようです。だからあまりご本人の言葉にも振り回されない方がいいと思います。
文責:伊藤