<22年8月家族会報告>

8月20日(土)1時半~5時 23名参加(19家族) 初参加2名(2家族)

講師:玉城久江看護師、神森精神保健福祉士 駒木野病院アルメックセンター

印刷資料「アンガーマネジメント」「親なき後問題と社会資源」

 

玉城久江Ns.

私はアルメックのセンター長をしております。アルコールの専属スタッフが集まるところで、外来や入院の前から最中から後まで、ご家族も含めて対応させていただいております。アルメックに来て3年、コロナの頃からアルメックに来たわけです。今日は私の方から「アンガーマネジメント」についてお話させていただきまして、その後神森の方から「親なき後問題と社会資源」という事でお話させていただきます。

「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたとか、知っている方いらっしゃいます?実際講義を聞いたとかいう方は?アンガーマネジメントはアメリカらからやってきて10年位になります。今は子供の教育とか企業研修とかでも役立っております。企業研修ではパワハラなどのマネジメントが出来ていないと色々なリスクがあるということですし、子供に関してはイジメとか自殺問題とかに影響してきます。怒りとは何かということをまずは知っていただく、そしてどういうふうに付き合っていくのがいいのかな、ということをかいつまんで知っていただければなと思います。本来は講義とワークの組み合わせで理解が深まるものですが、今日は時間の制限もあるので講義が多めになりますが、ワークにもみなさん積極的にご参加下さい。

何でアンガーマネジメントをここでお話するのかなという事ですが、私自身アルコール医療に関わるうえで、「怒るのをやめたいんだろうな」と思う事や、「怒りをすごく我慢していけど出せずにいるんだな」と思われる人をたくさん見てきました。そして怒りの連鎖を、ご本人から家族へそして医療者へと、連鎖していくのを止めるのは何かなと思った時、アルコールプログラムの中にアンガーマネジメントを入れていく事が大切ではないかなと思いました。今入院プログラムやデイケアに、またご家族向けにお話しさせていただいております。また他の病院でもアルコールプログラムにアンガーマネジメントを導入しているところが多いです。怒りと飲酒がつながっている事が多いし、ご本人の怒りが家族に連鎖していき、それがまた飲みたい欲求に繋がったり、ご本人に向けられて悪循環になってしまう事が多いです。怒りについて今日は理解を深めていきたいと思います。

 

ここ最近1週間くらいでイラッとしたことありましたか?「軽くイラッと来た事」「まあまあ腹が立ったこと」「すごく頭に来たこと」とありますが、程度はともかく、誰に対して、何に対してイラッとしたのか、その時何をしたのか、相手の反応はどうだったのか、具体的に書き出してみましょう。3分くらい時間を取ります。書きながら聞いてください。最近私怒ってたなという事を具体的に思い出そうとすると、私自身思い出せなかったのです。それはマネジメントできてなくてその場任せに怒っていたことからくるのですね。本当に軽くから凄くまで、とても幅があります。ご自身の中から湧き上がってきた怒りが、この後の話の内容に落とし込んでいくことで、より腑に落ちたり理解深まったりすることに繋がりますので、ご自身の中からわき出た怒りを、教材の一つとして使わせていただきたいと思います。

それでは書いていただいたものを、お隣同士でお話していただいて良いですか。その後全体でシェアしたいと思います。お隣なければ前後の席とかで。(にぎやかに話声笑い声続く)ありがとうございます。私間違えて伝えていませんでしょうか?(笑)怒ったことをシェアしてくださいとお伝えしたのですが、皆さん大笑いしていらっしゃる。怒ったことを話すと笑い話になってしまいますね。でも怒っていたその時は真剣にイラッとしていたんですよね。ですから怒りについては正体不明な所があります。感覚としては日ごろの生活の中で怒りはたくさん感じますし受けます。でもどう扱っていいのかわからない。非常にエネルギー量が高いので、打ちのめされてしまうという事があると思います。どう対処していけばいいのか今日少しだけでも知っていただけるといいと思います。発表していただけますか?

「うちに中3の受験生がいるんですが、夏休み過ぎても勉強が進まなくて、私に当たってくるんです。まあ受験中だからと思って聞いてやるんですが、ちょっと意見すると、そんなアって反発してくるんです。こちらにもイライラが起こります。」

反発してくることに怒りがわきますね。勉強するべきなのに勉強足りないことにも。ハラハラドキドキですよね。これで受験をのりこえられるのかと不安でたまらないですよね。自分のことでもないし、どうにもできないですよね。ありがとうございました。(拍手)

「私の息子は薬物依存症です。私と家内の関係ですが、私は他の家族教室に参加し、相模原にも参加しています。家内はこういう所に出るのがイヤなんです。情報がもれるんじゃないかと。将来に響くのではないかと。だけど息子のアパートには行ってないし、連絡するなと言われているから連絡できないし、分からないから心配だと。仕事出来なくなれば食えないし、食えなければ病気になるし、病気になれば精神科病院かと心配しだすのです。心配が心配をよんでグルグルしだすのです。だから家族会に参加して勉強しようというのですが、それはイヤだと。」

ありがとうございます。よくわかりました。たくさん出して下さってありがとうとございます。

 

アンガーマネジメントの言葉の定義について。共通の理解をしていきたいと思います。アメリカから来ていますので英語です。アンガーとはアングリーともいいますが「怒り」の感情です。マネジメントは「後悔しないこと」と意訳しています。直訳ですと管理するとか配分するという言い方になりますが。というのは、私たちは日々の生活の中で怒っても怒らなくても後悔を繰り返しているのが日々の姿です。怒って後悔するというのは「あんなことで怒らなければよかった」「あんなことで怒って恥ずかしかった」とか。怒らなくて後悔するというのは「もっと言っておけばよかった」「あの時怒っておけばよかった」とか。「怒りの感情で後悔しないで済むことがアンガーマネジメント」です。怒らない事ではないのです。アンガーマネジメントをすれば怒らないようになるんですよね、と勘違いされることがあるのですが、アンガーマネジメントは怒りの感情を否定していません。それはゴールではなくて、目指すものは「怒る必要のあることは上手に怒れるようになり、怒る必要のない事には怒らないですむようになること」です。この線引き出来ることをマネジメントというのです。ですから「怒りで後悔しないこと」という意訳になるのです。

「怒らない事を目指していません」というのは意味がありまして、怒りの感情は人間であれば誰しも持っているものです。私は怒ったことがないという方はいないはずです。なぜ人に怒りの感情が存在するかというと、怒りの感情には機能と役割があるのです。「身を守るための防衛感情」殴られたら殴り返すように、自分の身を守るための防衛です。動物などは簡単に「フライ・アンド・フライト」と言われるように、目の前に敵が現れた時は、怒りの感情を利用して、鼓動を早くしたり筋肉を緊張して、いつでも戦うか逃げるかできるようになっています。人間にも身を守るために怒りの感情はとても必要なので、危機を感じているからこそ怒りの感情が出る。ですから怒りの感情を否定しません、とても必要な重要なものです。物理的に殴られたりして身の危険を感じた時だけではなく、自分が生きてきてこれまでの中で大切にしている考え方や価値観が侵害された時、人は怒ります。それを守るために怒りが必要です。イラっとした時自分の中にどんな危機感が起きたのか、違った角度から考えてみる必要があります。「怒っている人とは、攻撃している人」とみられがちですが、防衛感情という観点からみると、「攻撃されたと感じている」のです。相手の人は攻撃したなんて思ってないですよ、でも「怒っている人というのは自分が攻撃されたと感じて身を守ろうとしている人」なのです。防衛感情で怒りを表出しているというわけです。侵害された?何を守ろうとしているのかな?という観点で見ていくときに対処方法が見えやすくなっていくと思います。

では私たちを怒らせるものとは自分以外の誰なのか、出来事なのか、どうなんでしょうね?お隣同士お話していただけますか、2分くらい。(話し合い)家族であったり、出来事であったり、いろいろな事が日々起こっていると思いますが、皆さんがお話ししたところで裏切るようで申し訳ないのですが、私たちを怒らせているのは、誰かでもないし出来事でもないのです(笑)。私たちを怒らせるものの正体とは「べき」に象徴されています。時間は守るべき、約束は守るべき、親はこうあるべき、子供はこうするべき、そういった自分が理想としている「べき」が「当然だよね」「常識だよね」「普通だよね」「~のはずだよね」と思っているものが、目の前で裏切られていくときに、人は誰しもイラっとくるものです。時間は守られるべきと思っているのに時間が守られない。何で守られないんだ、という風に怒りがわいてくるんですね。私たちはイラっとすると自分の外側に怒りを向けるものですが、同じ状況でも怒る人と怒らない人がいます。「自分の内側にある「べき」に象徴される考え方や価値観が私たちを怒らせている」のではないかな?だから、相手がどんな「べき」を持っているか、自分がどんな「べき」を持っているか、知っておくといいです。だだ、この「べき」非常にやっかいなのは、不正解はないのです、すべて正解なのです。社会的にはどうかなあと思うことであっても、その人にとっては正解なのです。だからこそ、今も悲惨な戦争が起こったりしていますよね。でもその人にとっては正義なのです。ですから相手の「べき」がどこにあるか知ることが、怒りをコントロールすることに繋がっていきます。先ほどイラッとしたことを上げていただきましたが、皆さんの中に「べき」を探してみてください。隠れていますか?隠れていたなと思う方いらっしゃいますか?

「主人にイラットするんですけど、私がすごく忙しくしていて時間もなくバタバタしているのに、彼はゆっくり起きてきてゆっくりごはん食べて、また寝ているんですよ。私はこんなに忙しくしているんだから、手伝うべきでしょう!と。なんでそんな寝ていられるわけ?というような。」(笑)

そうですね、共感します。もっと配慮すべきですよね。「べき」が私たちを怒らせる正体ですね。自分の視点からするとそれが普通であるのに、相手の視点からは普通ではなかったりします。それが怒りの元になりますし、怒りは弱い者に流れていきますから、身近な人に強く出てしまったりします。弱い者にというのは、感情エネルギーは高い所から低い所に流れるからです。身近な人というのは家族に対してですね、仕事場とかですと距離感を持って接する事ができるのですが、家族への期待というのはメッチャ高くなるんですね。手伝うのが当然だよねといった感じで。

「怒りが生まれるメカニズム」これはライターの絵で説明しています。ライターは着火石があって、下にエネルギ―が充填してあって、火が付くと燃え上がるという仕組みです。怒りのメカニズムとしては着火石の部分が「べき」なんです。育ってくる過程で私たちはいろいろな「べき」を身に着けています。下のオイルは、不安や寂しさや怖さといったマイナスの感情、もしくは体の不調や睡眠不足や空腹とか疲れといったマイナスの状態。マイナスの感情やマイナスの状態をエネルギーとして、怒りの炎は燃え上がります。「べき」の回数が多ければ多いほど、炎は何度も燃え上がります。ここで二つ大切なことをお伝えします。「べき」の回数を減らしましょう。マイナスの状態も減らしましょう。楽しみの感情はマイナスの感情を消してくれます。プラスの状態もマイナスの状態を減らしてくれます。遊びはマイナスを減らしてくれます。後は気分転換ですね。5分あいたら出来る事、30分あいたらできること、自分の気分転換メニューを作っておきましょう。私は嗅覚が気分転換にいいので、珈琲をいれるとか、ハーブを嗅ぐとか。深呼吸することもリフレッシュになりますね。旅行に行くなんて大きな行動はコロナで難しかったりしますが、自分なりにできる解消法でストレスが小さなうちから解消しておくことが、怒りを軽減することにもつながります。

今まで怒ることは大切ですよとお伝えしてきました。しかし問題となる4つの怒りがあります。一つ目は「強度が高い」小さなことでも激昂してしまう、一度怒ると非常に強く怒る。エネルギー量の高い怒りですので持続することはあまりないですね。「持続性がある」根にもつ、思い出し怒りをする。これは時間的に長い怒りです。一度忘れたかのように思っても何かの拍子にまた湧き上がってくる怒り。「頻度が高い」これは強度が高いわけではないけれど、一日の中で何度もイライラする、回数が多い怒りです。カチンとくることが多い怒りです。「攻撃性が高い」には3つあり、「人を傷つける人を責めてしまう怒り」。「自分を傷つける自分の中にため込んでしまう怒り」。ため込んでも消えることはありません。最終的にはそれは自分への攻撃になってしまい、自殺ということになりかねない。そして「物をこわす怒り」。壊すまで行かないまでも乱暴に扱ってしまうということ、ありませんか。ドアをバタンと占めるとか食器をガチャガチャ鳴らすとか。これは良いとか悪いとかではなく、自分の怒りのタイプを知ることで役にたちます。

自分の大切な人の怒りのタイプを知っておくことも役に立ちます。より分析的に見ることができます。「あの人怒りっぽいわね」と言いますよね、その時の「怒りっぽい」人によっていろいろです。これを分類してみる事ができます。本当はここで「自己診断」をするワークをするのですが、今日は時間が押してしまいましたのでしません。自己診断の中でグラフ化してみます。強度をゼロから10までとすると、直感的につけてみます。自分の怒りの強度は・持続性は・頻度はどれくらいか。また攻撃性の対象は何か、人に向けてなのか・自分に向けてか・モノに向けてなのか。点をつけてそれをつないだ三角形を作ってみてください。そうすると、人によっていろいろな三角形が出来ます。大きいのもあれば小さいのも、歪んだ三角形もあれば整ったものもあります。そして自分がかかわった人の中で誰か一人を思い出してみて、芸能人でも職場の人でもいいですよ、その人の強度がどれくらいか、持続性がどのくらいか点をつけてみましょう。意外とこれはちゃんとつけられるのです。わりと正確に。私たちは無意識に見ているのです。これで6つの指標がもてたことになります。「あの人怒りっぽい」と思った時に、分析的に見るためにツールとして活用していただけたらなと思います。

 

ここからが本格的な所です。アンガーマネジメントとは3つのコントロールから構成されています。一つ目は衝動のコントロールです。「イラっとした時は6秒ルール」といいます。二つ目は思考のコントロール、「三重丸」です。イラットきた時に怒るか怒らないかを考えるもの。三つ目は「行動のコントロール、分かれ道」です。「1、衝動のコントロール」イラッと来た時に絶対にやってはいけないこと、それは反射です。衝動で怒ると後で必ず後悔します。ですからイラッとしたら6秒待ちましょう。6秒あると理性が働き始めます。前頭葉が動き始めます。イラっとした時は動物脳が優位です。人間ですから前頭葉が発達していて6秒たつと働いてくれます。ですから6秒まって言った言葉は温度感が全然変わってきます。自分よりも相手が勝ちます。とはいえ衝動ですから、気づいた時は言っちゃった、やっちゃったという事になりがちです。そこで「スケールテックニック」というのをお伝えします。怒りの温度を測りましょう。今日の怒りは何度かと毎度測ってみてください。穏やかな状態が0で人生最大の怒りが10だとします。私たちはまだ人生最大の怒りは未経験ですね。先ほどの表で怒りが5点超えた方おられますか?3点の方おられますか?1,2点かなという方は?皆さんわりと穏やかですね。ありがとうございます。この温度計、一番最初はすごく高くつけがちなんです。5点以上というと結構手があがるんですね。何故かというと、自分が正当だと思っているからです。こうあるべきでしょ、当たり前でしょ、当然だよねと思って怒っているからです。だけど毎回付けていると、昨日は8点でも今日は6点くらいかな、自分なりのスケールができていきます。そうすると無駄に起こる事がへってきます。後になって考えてみるとそれほどではなかったなと思う事は、結構あると思うんです。3位の怒りを7位の勢いで怒っちゃったりすることはあるんです。自分のエネルギーも無駄遣いだし、相手との関係性も悪くなります。自分なりのスケールを持っていることは、強味になります。

「2、思考のコントロール」です。①の許せるゾーン、これが「べき」です。ここは何の怒りも感じない、そうだよねと笑顔で思える範囲です。②はまあ許せるゾーンでグレーのゾーン。③の許せないゾーン、ここが怒りになります。この②がない人が多くいます。①か③しかない人、自分のべき以外はすべておかしい、怒りに変わる人。この②のグレーゾーンが大きい人は、自分自身をも許せる人になります。グレーゾーンは役に立ちます。自分がそれに合わせるというのではなく、自分はそうは考えないけれども、世の中にはそう考える人もいるんだなと、自分が許容できる範囲です。この範囲は外側の境界線は日々動くのです。これは機嫌によって動きます。自分が機嫌がいい時は、ここは大目に見ておこうかなと思うわけです。子供は「ああ、お母さん今日は機嫌がいいんだな」と思いますね。自分の機嫌でこの範囲が大きくなったり小さくなったりすると、信頼されない怒りになります。だからこの線は固定していく事が大切になります。まあ許せるゾーンを自分のご機嫌マックスまでに広げておくことが目安になっていきます。「まあ許せるゾーン」と「許せないゾーン」との境に置いておくべき言葉が「後悔」です。怒って後悔するのなら、それは怒る必要のなかった怒りなのです。どうしてその状況を許せなかったのかな、どうしてその人とぶつかったのかな。「せめて」という言葉を載せてリクエストしていくといいです。「せめて、30分くらい勉強してよね」というとか。この線をある程度固定したら、自分がこのライン以上だと怒るよということを、見せていく事も大切です。時間は守るべきと決めたら、自分の状況がどうであろうと、相手がどんな人であろうと、遅れてきたら「遅れてますよ」ときちんと伝える事が大事です。一貫した態度を示すことが大事です。自分の機嫌で変えたりしない。また人によって態度を変えたりしない。そういう事がパワハラに繋がったりしますので。

「3、行動のコントロール」怒ると決めたあとに4つの仕分けをしましょう。仕分けするとやるべきことが決まっていきます。イラっとして怒ると決めた時、自分でこの状況を変えられるか変えられないか分けます。アンガーマネジメント的に正しいとか正しくないとかはないです。自分にとって変えられるか変えられないかです。そして自分の幸せにとってあるいは大切な人の幸せにとって、重要か重要でないかです。「自分で変えられるし、自分にとって重要なものだ」と思う事には、今すぐ取り組みましょう。取り組む前に「いつまでにどの程度変わったら自分の気が済むか」を決めておくのが大切になります。忙しい子育て中には良く怒っていました。子供は部屋を片づけて褒められるかと思ったら、私が疲れて帰ってきたたらなんで片づけてないのと怒られるようなことがありました。鞄はここに掛けよう、服はここに片づけておこうとか、決めておかないからすれ違いが起きます。親の機嫌で怒られたと思われてしまいます。どこまでを片づけたことにするか、親と子供の価値観を合わせておき、お互いに認知しておくことが大事です。「変えられるけど重要じゃない」これは今ではなくて余力のある時に取り組めばよい。「変えられないし重要ないうこと」これは変えられないという事実を受け入れた上で、現実的な選択肢を探す事になります。通勤途上で電車が止まってしまった、あるいは渋滞に巻き込まれてしまった。そういう時駅員さんに怒っても解決しないですよね。それよりは別のルートを探すとか現実的なやり方を見つけるといいですね。「変えられないし、重要ではないこと」これは放っておく勇気を持ちましょう。関わらない事です。マナーの悪い人が電車で座っている、腰の曲がったお年寄りがいるのに、見るとイラッとしますよね。道徳的にはどうかと思う事はあります。色々からめて考えてしまうと答えが出なくなってしまいます。でもアンガーマネジメント的には、関わらないことです。

まとめです。アンガーマネジメントのポイントとしては、まず6秒待ちましょう。温度計をつけましょう。イラっとした時は同心円の①と②なら怒らない。怒るとしたら自分が変えられるか変えられないか、重要か重要でないかで仕分けしていく。「全ての人が自分の感情に責任をもてば、私たちは怒りの連鎖を断ち切ることができると信じています。」それは違う価値観を受けいれようということです。自分の価値観を認めてほしかったら、自分と人の違いも引き受けよう。これがアンガーマネジメントの核心部分なのです。

 

神森PSW「親なき後問題と社会資源」

駒木野病院で入院中の患者様にお伝えしております、社会資源についてまとめました。社会資源とは広い意味を持った言葉ですが、アルコール依存症の患者様には「医療機関、リハビリ施設、入所施設、自助グループ」の4つをお勧めしております。入院中の方は今後の生活をとても心配しておられます。様々な資源を組み合わせていく事で安心して治療を続けられますよ、ということをお伝えしています。ご家族にも同じことで、安心して治療を続けられますよということを、強調したいです。相模原ダルクにつながっていれば、安心して回復の三本柱を守っていく事ができます。退院後の生活では治療費についての心配が多いと思います。精神保健福祉手帳を取る事をお勧めしています。昔は「アルコール依存症」では取れない事があったのですが、今は6ヵ月の断酒期間があって治療に取り組んでいるという診断書を医師が書けば、基本的には3級の手帳が取れるようになっています。これを取ると治療継続のモチベーションになりますよ、とお伝えしております。様々なサービスをうけられまして今後の生活の役にたちますので。国や県の施設利用が無料になることが多くて、動物園や美術館が無料。都内ですと都営交通の無料パスをもらえまして、かなりいろいろな所へ無料で行けます。

一番お伝えしたいのは自助グループやリハビリ施設です。入退院を繰り返されている方で入所をお勧めしたい方が結構おられます。施設はイヤだとか、生活保護になりたくないとか、なかなかすんなりと入所を受けいれる方がいないのが実情ですが。駒木野病院では入退院を繰り返す方には、次に入院したら退院後はダルクですよと約束してもらって入院するということがあります。施設はどうもという方には、駒木野病院でもデイケアがありますから、こちらに通院はどうですかという形でお勧めすることもあります。

親御さんの方が先に亡くなるケースが多いと思います。財産管理の問題があれば後見人制度、使い果たしてお金がなくなれば生活保護とか。いろいろセーフティネットが存在しますので、使える物を使って生活を安定させていただければと思います。

                                           文責:伊藤