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<7月家族会報告> 2019年7月20日(土)午後1時半~5時 21名参加(19家族) 講師 成瀬暢也先生(埼玉県立精神医療センター 副病院長)   田中 成瀬先生は、埼玉県立精神医療センターの副病院長のかたわ […]

7月家族会

<7月家族会報告>

2019年7月20日(土)午後1時半~5時 21名参加(19家族)

講師 成瀬暢也先生(埼玉県立精神医療センター 副病院長)

 

田中 成瀬先生は、埼玉県立精神医療センターの副病院長のかたわら、埼玉ダルクの理事もしておられます。僕らの目線に沿って助言して下さる頼もしい先生です。またアメリカの施設見学にご一緒したこともあります。日本の依存症治療の第一線におられる方です。

 

印刷資料「依存症の理解と家族の役割」

成瀬 埼玉県立精神医療センターは、平成2年(1990年)にできた病院です。県立の医療センターとして民間病院がなかなかやらない所をやろうという方針でやってきました。ですがやればやるほどエネルギーが枯渇するのを感じました。後から思えば回復者に会わなかったからですね。病棟の患者さんにしか会っていなければ無理もないことです。その頃研究テーマとして「地域ネットワーク開発」というのを与えられて、仕方なくできたばかりの埼玉ダルク(2004年)に行きました。看護師やワーカーが埼玉ダルクを作るのに奮闘していましたが私は忘年会に顔を出すという程度でした。その後全国の「家族会実態調査」を2度行う機会があり、そこで家族の切々たる訴えに触れました。それから家族、施設スタッフ、という実際の支援にあたっている現場の人々に聞きました。回復者に会いました。多くを学びました。実際に回復者がいなければ偽物ですよね。私はそこから学んだことを伝えています。

今、病院にいて患者さんが来てくれるのが楽しくてしょうがないです。「ようこそ外来」と言ってますが、ここであなたは歓迎される、通報はされない、とちゃんと伝えると、不安や警戒や緊張で一杯の患者さんの表情がゆるむのです。いやいや来た人がしゃべってくれるのです。診察の場があたたかい場になる、それだけでも良くなるものがあります。(治療の関係づくり)依存症は、人を信じられない人が、物質を使ってかりそめの慰めを受けるもの。しかし通い続けるうちに変わってきます。話の中でその人の困っている事を聞き、その人がどうしたいかに焦点をあてて、一緒に考えていくわけです。(治療の動機づけ)こちらは外来で治療を続けられるように最大限配慮します。これは何も薬物依存症の患者さんに限りません、うつ病やその他の病気を抱えた患者さんでも全く同じ事ではないですか。

 

  • わが国の薬物問題について。

覚醒剤や有機溶剤が主であり、ともに精神病状態を引き起こします。それゆえ治療は解毒、幻覚妄想への対応に偏ってきた歴史があります。薬物依存症は病気ではなく犯罪として捉える傾向が強くあります。従ってわが国の乱用防止策は一流だが、回復支援は三流以下です。病気の受け皿は「病院丸抱え」「ダルクへの丸投げ」が続いてきました。専門医療機関は全国で10か所程度ですが、これでは少ないと厚労省は拠点病院作りを進めてきています。薬物依存症者の治療支援は、病院では完結せず、地域でこそ勧められるもの。それにしては社会資源はダルクとNAのみであり、施設に過大な期待と負担が課せられている現状があります。近年患者の多様性が顕著となりました。「中年男性、ヤクザ系、覚醒剤一筋、激しい興奮と幻覚妄想」という典型例は少なく、性別年齢職業とも多様化、多剤乱用、多問題ケースが主流となり、治療の動機づけ、目標設定が難しくなってきました。インターネットの普及とともに薬物や関連情報の入手が容易になったせいで、罪悪感も希薄です。尚、危険ドラッグは急速に拡大し深刻な社会問題となりましたが、2015年をピークにほぼ抑え込まれました。これは「疑わしきは罰す」原則が功を奏した結果ですが、この人たちは他の薬物に流れたものと考えてよいでしょう。

他国と比較してわが国の薬物問題はどうでしょうか。違法薬物の生涯経験率の表があります。何らかの違法薬物を使用した経験のある人は米国で48%、英国で35.9%、カナダ43.2%、オーストラリア36.8%。対して日本は2.5%です。覚醒剤であるメタンフェタミンは、一番高い英国が10.6%で日本は0.5%です。覚醒剤の製造元は日本なのですが。日本は奇跡的にクリーン地域であることがわかります。

 

2 依存症とはどんな病気でしょうか?

「風鈴とクーラーの話」昔日本で夏は団扇と風鈴で暑さをしのぎました。麦茶と井戸水で涼しくなる工夫をしました。今はクーラーのスイッチ一つで涼しくなります。なんて幸せなんでしょう。でも今クーラーは当たり前になりクーラーに感動する人はいませんね。薬物になれた人がしらふの生活になれるのは、団扇と風鈴生活になれるようなものなのです。現代人はクーラーを知って暑さというストレスに弱くなっています。薬物の人は便利な気分調整薬を知って「鬱やもやもや気分」といったストレスにすごく弱くなっています。「200m先のコンビニまで車で買い物に行く話」車になれた現代人は、ともすればすぐ先に見えるお店まで車で行ってしまいます。歩くという生体に基本的な喜びさえ、ストレスに感じられる生活になっていませんか。依存症も同じです。

「パチンコで勝ったことのない人はパチンコに嵌らない」人は気分が変わるものにしかはまらないのです。

しかしかつて快感を得られたものでも繰り返すうちに、快感は減弱していきます。同じ快感を得るためにはより強い刺激が必要になります。そして最後には快感が得られなくなっても止められなくなる。「やる気が出なくて切れやすい」という強い欲求不満が慢性的におこる。気づいた時には、素面ではストレスに耐えられない人になっています。

依存症と脳内報酬系のこと。快感や喜びには、脳の中にある「報酬系」という神経系が関係しています。A10神経系といいますが、この神経が興奮するとドパミンという物質が分泌される。よろこびの神経物質です。様々な日常的喜びに関係して報酬系は賦活されますが、依存症(アルコール、薬物、ニコチン、ギャンブル、ゲーム、セックス等々)はこの報酬系を狂わせてしまう。ネズミの実験では餓死するまで依存してしまう例があります。つまり生命維持に必要な本能的な行動をさえ変えてしまう。単なる快楽から「のめり込み」へと変化していく。またドパミンの強制刺激が繰り返されるとドパミン反応が低下していく。快感や喜びが感じにくい脳になっていく。効かなくなってくると依存する前の状態よりも悪い状態になってしまう。使うも地獄、止めるも地獄。詐欺に引っかかった様な状態といえます。

 

3、依存症の治療とは?

病院では治療関係づくりと、治療の動機づけが大半を占めます。本人の中には止めたい気持ちと、止めたくない気持ちが葛藤しています。使える言い訳を作ろうと必死です。健康な部分に働きかけるのが動機づけです。その後に、精神症状に対しての薬物療法、解毒・中毒性精神病の治療、疾病教育・情報提供、行動修正プログラム、自助グループへのつなぎ、生活上の問題整理と解決援助、家族支援・家族教育と続きます。

生活上の問題ですが、酒や薬で仕事をしてきた人たち、いわばドーピングのプロです。仕事に焦ることがすごく多いのですが、早く解決したいあまりに、マラソンを走るべきところ100mダッシュの勢いで走ってしまいます。当然のようにまた薬に頼りだします。これを防ぐためにも先行く仲間につなげる事が重要になります。

外来初診時の対応は非常に大切ですが、来たこと自体をまずほめます。どんなに約束の時間に遅れようが歓迎します。来たこと自体が何とかしたいという思いの表れですから。ゼッタイ責めない、だって本人が自分を責めていますから。違法薬物でも通報しないことを保証します。そして本人が問題に感じていることを聞き、どうしたいかに焦点をあてます。外来治療を続けられるように配慮します。

新たな治療の考えがあります。かつては「否認」を責め、「底つき」を待つ風潮がありました。しかし底つきはさせるものではない。本人の中に隠れている良い方向に変わりたいという思いを、どう育てるかが大切であることがわかってきました。何に困っていますか?どう変わりたいですか?どうやってやりますか?とインタビューしていくのです。素晴らしい方法ですね、どうやって?本人に考えてもらいます。考えを巡らせること自体に意味があるのです。回復した元気な人に会ってもらう必要がありますが、ミーティングは苦手という人もいます。その場合それ以外で有効な手段があることを知らせます。そして慢性疾患であるという認識に立って、患者が治療から脱落しないように配慮することが大切です。

 

4.依存症からの回復とは

対人関係のストレスを感じている人が、薬物が手に入りやすい環境が与えられると、薬との相性がよければですが依存症になりやすいのです。彼らの抱える対人関係の特徴は、6点あげられます。自己評価が低く自分に自信がもてない。人を信じられない。本音をいえない。見捨てられ不安が強い。孤独で寂しい。自分を大切にできない。こういう人たちだと頭において付き合う必要があります。これらの特徴はご本人に聞いてみると、皆同意することです。特に女性はすぐ認めます、どうして私の事がわかるんですかと涙する人もいます。男性は強がってすぐには認めませんが、2回目か3回めには認めます。自己中心やわがままな行動は症状にすぎない、本当は寂しくて孤独な人たちです。

回復のために最も大切なこととは「正直になり、本音を言えること」でしょう。正直な思いを受け止めてもらえた時、人は孤独と寂しさから解放されるものです。彼らと付き合うと正直がいかに大変かがわかります。自分は親からさえ受け入れられない、まして他人から受け入れられる価値がないと、誤解なんですが信じ込んでいる人たちです。傷つけられない安全な場で正直になることから、回復は始まります。

自助グループやダルクが有効な理由は何でしょうか。同じ問題を持った人たちで、仲間意識を持ちやすいのです。話したくなる場があります。対人関係の問題の解決を進めていく場がここにあるのです。そこで人は癒される、人に癒されるようになると、酔う必要はなくなるのです。回復したければ自助グループやダルクに身を置き続けることが近道です。

薬物依存症の治療の成否は、どの治療法を行うかではなく、誰が治療を行うかにかかっていると言われます。誰がとは「共感性の高い人」「偏見や陰性感情から解放されている人」を指します。治療者・援助者はこのような人として本人に適切に関わり続ければ、必ず回復は見えてきます。回復は「人である治療者・援助者・仲間」とのかかわりにおいてこそ生まれるものなのです。

 

5、依存症者への対応

治療関係が深まってくると、殆どの患者がかつて、あるいは現在も希死念慮をもち、自傷行為や自殺企図の経験を語ってくれます。アルコール依存症者以上に、薬物依存症者は死に向かう傾向と衝動性が高いことが、各種の調査でもわかっています。「自分なんてどうなってもいい」「生きていても仕方がない」「死ねるものならいつでも死にたい」などの言葉は日常的に語られます。とんでもなく死に近い人たちなのです。

それを踏まえて、薬物依存症者への望ましい対応を10点あげておきます。敬意をもって接すること。対等の立場にある事を自覚して。自尊感情を傷つけない。患者を選ばない。コントロールしようとしない。ルールを守る事にこだわらない。一対一の関係を大切にする。長い目で見守る。明るく安心できる場を提供する。自立を促すかかわりを心がける。

患者の意識調査でわかったことがあります。「家族から酒や薬物を止めなさいといわると、どんな気持ちになりますか?」という問いには、止めようと思う人が20%なのに対し、飲もう使おうと思うと答える人が40%です。「再飲酒、再使用したとき、家族から責められるとどんな気持ちになりますか?」という問いには飲もう使おうと思うと答える人が50%です。「あなたが飲酒薬物使用をする一番の理由は何ですか?」という問いには、苦しさがまぎれるからが59%とダントツで高く、楽しくなるからという答えは30%に満たないのです。殆どの人が苦痛の軽減のために使用していることがわかりました。「人に癒されず生きにくさを抱えた人の孤独な自己治療」という見方が適切であるといえます。使用を止めさせよう、スリップを責めようとすると逆効果なのです。

治療者も家族もそうなのですが、信頼関係のないまま相手を変えようとするのは支配です。相手は変えられまいと抵抗します。断酒断薬を強要してはいけない。信頼関係を築くことができれば、治療者が期待していることを患者は察知して、その方向に変わろうとします。

鬱病患者に「元気を出せ」と強要したり、「元気がない」と責めたりしません。認知症患者に「忘れるな」と強要したり、忘れたことを責めたりしません。どうして依存症の症状であるスリップ(再使用)が起きた時に患者を批判的にみてしまうのでしょうか?

依存症者は健康な人の中で回復します。これまで我々は「北風と太陽」の北風の役を疑いもなくしてきました。しかし北風になってはいけない。良い治療者・支援者には、信頼感にあふれた「太陽」であることが求められています。

 

6、家族の実態と役割

家族の実態調査からわかったことは、家族の受けているストレスは大変なものだというこということです。強いストレス状態にある人が50%以上でした。極端に精神健康状態が悪い人、治療を必要とするレベルの人は19%もいることがわかりました。

家族の役割としては、依存症について学ぶこと、適切な対応を身に付けること、家族が元気を取り戻す事が挙げられます。同じ経験をしている仲間と出会うために、家族会や自助グループにつながる事をお勧めします。

家族が依存症者を治療につなぐために大事なことは何でしょうか。世話焼きや子供扱いをやめること。「使うか止めるかはあなたが決めなさい。ただし結果は自分で責任をとること」と言ってあげること。関係者全員が一致して協力すること。家族は自分のために相談に行き、自分のために家族会や自助グループに参加すること。治療を受けてほしいと感情的にならずに伝えること。暴力に対しては逃げるか警察通報すること。

往々にして本人の薬物から生じる問題を、家族が引き受けて自分の問題としてしまって苦痛と問題解決を引き受けてしまうことがあります。これでは本人の問題解決にはなりません。

家族が疲れ切った場合は、共倒れにならないよう本人を病院やダルクにつないだうえで、直接の援助役を降りるという事もありです。本人と一緒にいないで距離を取る方がいい場合もあります。離れて回復を祈るという関係もありです。

家族は過保護にならず、見捨てることもなく、本人との信頼関係を築いていくことが大切です。コントロールや支配は、回復と反対の方向に追いやります。家族の役割はその場しのぎの援助をやめ、回復のための情報を伝え、あとは本人の回復を祈ることです。

 

7 まとめ。

反省すればするほど苦しくなって使いたくなるのがこの病気です。

薬物問題は人間関係の問題です。回復とは信頼関係を築いていく事です。

人を信じられるようになると、人に癒されるようになります。

人に癒されるようになると、薬物に酔う必要はなくなります。

ご家族にお願いしたいことは、とにかく本人の話を最後まで聞いてあげてください。よく話してくれたと喜んであげてください。正直になっていいんだと思えるようにしてあげましょう。

ダルクのスタッフはメンバーに強要はしません。しかし提案はします。自分で選べるよう選択させます。失敗したら、戻っておいでといいます。このような対応から学ぶことが多いと思います。

 

文責:伊藤


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